● 囲碁

2017年4月 4日 (火)

囲碁、第5回電聖戦、一力遼七段vsコンピュータソフト、日本のDeepZenGo(ディープゼンゴ)、中国のFineArt(絶芸)、一力がAIに2連敗、とは(2017.4.4)

 囲碁の棋士と人工知能(AI)が対戦する第5回電聖戦は3月26日、東京都文京区で行われ、一力遼(いちりき・りょう)七段が、第一局で日本の[DeepZenGo]に、第2局で中国の「FineArt(絶芸、ぜつげい)」と対戦しました。

 一力七段は、竜星戦で優勝や天元戦で挑戦者になるなどの実績を持つトップクラスの棋士です。先陣のZenは、3月23日の大阪での国際棋戦で井山裕太碁聖との対局に続き、一力に完勝しました。

 そして、トリを飾る絶芸にとって負けられない一局となりました。というのは、 絶芸は3月19日、電気通信大(東京都調布市)で行われた、第10回UEC杯コンピュータ囲碁大会で、Zenを下して優勝していました。

 絶芸は中国の世界的IT企業・テンセントが、囲碁のルールも知らない技術者約10人が1年の期間で開発し、日本最強AIのZenに中押勝ちし、前日の予選から数えて11戦全勝し、初出場で初優勝を果たしました。

 この大会は、日中韓仏、台湾の30ソフトが出場し、昨年はZenが優勝し、その特典として小林光一名誉名人に挑み勝利しましたが、手合はあらかじめZenが碁石を三つ置く三子局のハンディ戦でした。

 今回が最後の電聖戦に、絶芸とZenは、世界トップ棋士とハンディなしの互先で渡り合う実績を携え参戦しました。

〇 第5回電聖戦(一力七段とZen及び絶芸との対局、棋譜、結果): http://www.nihonkiin.or.jp/news/etc/vsai5.html

 読みの速さと深さは「日本随一」(小林覚九段)と評される一力は、AIの弱点とされる石がぶつかり合う接近戦に挑みました。序盤から仕掛け激戦となりましたが、絶芸は卓越した大局観を見せつけました。

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図1 黒: 絶芸 白: 一力

   黒中押し勝ち

 それが、図1、絶芸は右下、黒は△入り●の大石を捨てました。しかし包囲する中央の白の一団に二眼はなく、最終的に自身の地中に何手もかけて△入り●を取る「攻め取り」が避けられない。黒は1以下15まで、白の一団を追いながら大地を形成し、地合いで大差をつけ、快勝しました。

 現地の解説会は一時、「一力の勝ちか」と色めき立ったものの、絶芸が算出した勝率は初手の50%から下がることはなく、大石を捨てた後は75%台でした。

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 トッププロと並んだZen、そのZenを破った絶芸、その上に君臨するアルファ碁(マスターとも)、囲碁AIがさらに猛スピードで進化することは確実化されています。

 昨年3月、アルファ碁に衝撃的な敗戦を喫した韓国のイセドル九段は「囲碁界は歴史的なパラダイムシフトを迎えている」と言う。  

(参考文献)  朝日新聞:とまらないAIの猛威、Zen、最高峰棋士と互角以上、WGO、2017年(平成29年)3月31日(金)朝刊。

(Link)

 〇 囲碁、ワールド碁チャンピオンシップ(WGC)、囲碁の日中韓トップ棋士とAI(人工知能)の4者総当たりリーグで覇を競う、とは(2017.4.4): http://kanazawa-kuratuki.cocolog-nifty.com/blog/2017/04/wgcai201745-62f.html

 〇 囲碁、第4回電聖戦、小林光一名誉棋聖vsコンピュータソフト(3子局)は1勝1敗、日本のZen(ゼン)は勝ち、米のdarkforest(ダークフォレスト)は敗け、とは(2016.3.26):
http://kanazawa-sakurada.cocolog-nifty.com/blog/2016/03/vs11facebookdar.html

囲碁、ワールド碁チャンピオンシップ(WGC)、囲碁の日中韓トップ棋士とAI(人工知能)の4者総当たりリーグで覇を競う、とは(2017.4.4)

 囲碁の日中韓トップ棋士とAI(人工知能)の4者総当たりリーグで覇を競う、ワールド碁チャンピオンシップ(WGC)が3月21日~24日、日本棋院関西総本部(梅田、大阪)で開かれました。

 WGCには、日本から井山裕太六冠(27)、国内最強AIのDeepZenGoと、中国予選を勝ち抜いた、同国第2位のミ・イクテイ九段(21)、韓国ランキング1位のパク・ジョンファン九段(24)が出場しました。黒番が6目半コミ出し、持ち時間は3時間で、AIが参戦する初の国際棋戦となりました。 その結果、パク・ジョンファン九段(24)が3戦全勝で優勝しました。ミ・イクテイ九段(21)は2勝1敗で2位、DeepZenGoは1勝2敗で3位、井山裕太六冠は全敗の4位でした。

〇 WGC(棋譜、対局日程、結果):http://netdays365.com/2016/12/09/%E3%80%90%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%89%E7%A2%81%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%94%E3%82%AA%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%83%E3%83%97%E3%80%91%E4%BA%95%E5%B1%B1%E8%A3%95%E5%A4%AA%E3%80%81deepzengo/

 この大会で、特に、世界の耳目を集めたのは、国内最強AI「DeepZenGo」の予想を超える強さでした。 21日、第1対局、ミ・イクテイ戦では、序盤からZenの大局観が勝り、リードを奪い、終盤も優勢を維持しましたが、の追い上げで徐々に差が詰まり、Zenは譲歩を重ね、半目勝負になろうかという微細な局面で狂いが生じ、突然,悪手を連発して敗れました。

 Zen開発チームの加藤英樹代表によれば、囲碁AIのプログラミングは、中国ルールに基づいている。中国と日本のルールの違いで勝敗が分かれることはまずないが、半目勝負に限って逆転するケースがある。それがこの対局で現れた可能性があるという。ということで、Zenは半目勝ちのはずが半目負けであることに気づき、パニックに陥ったと考えられました。

 翌22日、第2対局、パク・ジョンファン戦では、Zenチームは前日の反省から、最低でも1目半余して勝つ設定にして対局に臨みました。通常より相手に差をつけなければ勝てない。試練を与えられたZenは名手で応えました。

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図1  黒: パク(朴)   白: Zen  

   黒中押し勝ち

 図1、△入りの〇の手です。全局的に白が厚く、戦いに強い。ツケは相手の応手を強制し、相手が妥協すれば左下から下辺、中央にかけて強固な模様を築き、反発すれば戦いに持ち込む着想です。
 実戦は黒aの反発に白bと黒の一団の行く手を阻み、流れを引き寄せました。パクさん
の話では、ツケは予想外であわてた。流れが一方的になり、後半はいつ投げてもおか
しくない状態だった、とのことです。

 ところが、Zenはまたしてもヨセで乱れました。白陣に孤立する黒数子が脱出する簡単な筋を見落とし、実際にそれを打たれ大乱調を来たし連敗しました。

 ということで、昨春の時点でトッププロと三子の手合だったZenは、ディープラーニングの手法を磨き超絶進化を遂げたが、なお課題を抱える未完の大器であることを印象づけました。

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図2  黒: Zen   白: 井山 

   黒中押し勝ち

 最終23日、第3局、井山裕太六冠戦では、懸念されたバグは現れず、Zenの快勝譜となりました。

 ハイライトは図2、黒1のアテです。白2、黒3のツギに白は5と突き抜きたいが、黒4、白a、黒bで全体の生死が危うい。やむなしの白4に黒5と塞ぎます。白6、8と生きを確かめる間に、黒7、9と展開します。白が狭い所に手数を費やしている間に、黒は好所に石を進め、快勝しました。

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 井山六冠は、序盤ではまずまずの展開と思ったが、局面が進んでみると正しかったかどうか分からない。はっきりしたチャンスは見い出せなかった、という。

 また、Zenが目標とする最強AI・アルファ碁(マスターとも)との差について、今回を見る限り、かなり近づいている感じがする。すごい力だと思う、との評でした。

(参考文献)  朝日新聞:とまらないAIの猛威、Zen、最高峰棋士と互角以上、WGO、2017年(平成29年)3月31日(金)朝刊。

(Link)

 〇 囲碁、第2回囲碁電王戦、趙治勲名誉名人vsコンピュータソフト、DeepZenGo(ディープゼンゴ)、三番勝負、趙名誉名人が2勝1敗で勝ち越し、とは(2016.11.24):
http://kanazawa-kuratuki.cocolog-nifty.com/blog/2016/11/vsdeepzengo-e02.html

 〇 囲碁、第4回電聖戦、小林光一名誉棋聖vsコンピュータソフト(3子局)は1勝1敗、日本のZen(ゼン)は勝ち、米のdarkforest(ダークフォレスト)は敗け、とは(2016.3.26):
http://kanazawa-sakurada.cocolog-nifty.com/blog/2016/03/vs11facebookdar.html

 〇 囲碁、アルファ碁(グーグルの人工知能) と 李世ドル九段(世界最強レベルの棋士)が対局、李世ドル(イセドル)九段は5番勝負の第4戦でようやく1勝、とは(2016.3.19): http://kanazawa-sakurada.cocolog-nifty.com/blog/2016/03/vs-a0a6.html

2016年11月24日 (木)

囲碁、第2回囲碁電王戦、趙治勲名誉名人vsコンピュータソフト、DeepZenGo(ディープゼンゴ)、三番勝負、趙名誉名人が2勝1敗で勝ち越し、とは(2016.11.24)

 第1回囲碁電王戦は、2014年(平成26年)2月に行われ、9路盤で、2人のプロ棋士、張 豊猷(ちょう・りゅう)八段、平田 智也(ひらた。ともや)七段が、共に、囲碁ソフト「Zen」に2連勝しています。今年3月には、米グーグル傘下の企業が開発した、アルファ碁が韓国の世界トップクラスの棋士に4勝1負と勝ち越し、注目を集めました。

 第2回囲碁電王戦は、2016年(平成28年)11月、国内最強ソフト、日本製 AI(人工知能)を実装した日本のコンピューター囲碁ソフト、DeepZenGo(ディープ・ゼン・ゴ)と、趙治勲(ちょう・ちくん)名誉名人(60)との三番勝負、囲碁電王戦、市ヶ谷(東京都千代田区)の日本棋院東京本院でありました

 第1局は、11月19日(土)に行われ、正式な碁の19路盤を使い、ハンディなしという国内初の対局は、史上最多のタイトル獲得数を誇る趙名誉名人が223手まで、黒番中押し勝ちしました。Zenは、序盤から犠牲を払いつつ主導権を握る大胆な手で優勢を築きました。が、終盤の詰めで疑問手が続き逆転を許し、開発プログラマーの判断で投了しました。

 第2局は、11月20日(日)に行われ、コンピュータソフト「DeepZenGo(ディープゼンゴ)が179手まで、黒番中押し勝ちでした。トッププロとハンディなしで打つ互先(たがいせん)で、コンピューターが国内では初めて勝利を収めました。

 Zenは第1局に続き序盤で優勢を築きました。その後、プロ棋士から見ると明らかな疑問手があり、趙名誉名人に追い上げられたが、最後は相手の大石を仕留めて豪快に勝負を決めました。Zen開発チーム代表加藤英樹さんは、感無量です。第1局より1手の考慮時間を1.6倍増やした。最終局に向けてさらに改良を加えていきたい。一方、趙名誉名人は、強すぎますね。人間が気がつかない手を打つ。ソフトが出たら勉強したい、と話す。

 第3局は、11月23日(水)に行われ、趙名誉名人167手まで黒番中押し勝ちし、三番勝負は、趙名誉名人が2勝1敗勝ち越し、幕を閉じました。 終局後、趙名誉名人は、自信はなかった。DeepZenGoはかなり強いが、弱い部分もあった。ミスをするところに人間味を感じる。人工知能に負けるのは恥ずかしくない。これだけ強くなってくれたら、僕らもソフトの打ち手を勉強して強くなれる。感謝している、と話す。

 一方、DeepZenGo開発チーム加藤英樹さんは互角の部分もあったが、序盤で損することが多く、よいところはあまりなかった、と敗因を振り返る。序盤を優位に進めるディープラーニングよりも、思考時間などプログラム面が課題と感じる。どこを直せばよいか、得ることの多かった三番勝負だった、と話す。

 第3局終了後のコメント(日本棋院ネット対局より) 

 趙 : 序盤にたくさんの地をくれた。こういう打ち方もあるんだと思った。自信はなかった。これで白(DeepZenGo)が勝ったら今までの布石とか考え直さないと。(電王戦の勝者となったが)強いですね。ただ強いところと弱いところがあった。弱いところは直せる。なんか人間味があった。(人間との違い)3局打ってAIと打っている感じはしなかった。人間と打っている感じがあった。ちょっと人間くさかった。愚かな部分でちゃった。(3局打って)楽しかった。コンピュータに負けるとか負けたら恥ずかしいとかは考えていなかった。楽しかった。 

 DeepZenGo開発者 加藤英樹氏 : 完敗だった。挑戦させていただいたが、1局目終了後相手を間違えたと感じた。弱いところがあると勝てない。特にヨセは誤算だった。直さないといけないところがわかった。弱いところが見えたが、得るところが多かった。今後はアルファ碁を越えること、囲碁界への貢献などを考えて研究したい。

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DeepZenGo開発チームの加藤英樹さん(左)、趙名誉名人(右) (ITmedia ニュース)

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第2回囲碁電王戦 第1局、趙治勲名誉名人(黒番)、中押し勝ち (のらくらニュース)

[Go game records] 第2回 囲碁電王戦 第1局 棋譜 、● 趙治勲 (9段) ○ DeepZenGo、YouTube(Go): https://youtu.be/JPmuJlrE3Uk

第2回 囲碁電王戦 【趙治勲名誉名人】vs【DeepZenGo】、第1局は223手まで黒番・趙治勲名誉名人の中押し勝ちとなりました。解説:一力遼 七段 聞き手:万波奈穂 三段、2016年11月19日(土)、YouTube(sengoku9999): https://youtu.be/M0p2sXq4rWM 、立会人の張栩(ちょう・う)九段は、石の働きや効率など碁の深いところを分かっていて、知らないうちにペースをつかんでいる感じ、と言う。

(解説) 第1局の終局後、趙名人は、対局序盤の布石がめちゃくちゃ強い。まだ展開が予想できない序盤での想像力の高さに人工知能の強さを感じた。強さを知ってしまった以上、第2局は最初から乱暴するかもしれない。一方、DeepZenGo開発チーム加藤英樹さんは、序盤は間違いなくZenが優勢だったはずだが、中盤から趙名人が思わぬ手を打ったために混乱し、ややこしい手を打ってしまったようだ、と分析している。

 DeepZenGoは、米Googleの囲碁用人工知能(AI)、AlphaGoを上回る性能を目指し、2016年(平成28年)3月から開発中の国内最強ソフトです。この囲碁ソフトは、Zen開発チームのチーフプログラマー・尾島陽児さんを中心に、AIを専門に研究する東京大学・松尾研究室、ドワンゴなどが協力して開発を進めてきました。そして、プロとハンディ戦だったレベルを数ヶ月で互先レベルに引き上げました。

 アルファ碁に続き、Zenもディープラーニング(深層学習)を導入し、ネット上にある高段者の膨大な棋譜から学んで自ら良い手を体得し、さらにAI同士の自己対戦を繰り返して精度を上げました。「意味不明」「解説しづらい」。今シリーズ、控室で対局を見ていた他の棋士が首をひねる場面がしばしばありました。プロでも思いつかない手を打っていたようです!第3局のネット中継で解説していた井山裕太棋聖は「気づかないが打たれてみるとなるほどと思う。今後とてつもないレベルになるとついていけないかもしれない」と話しました。

(参考資料) 

〇 朝日新聞: 趙名誉名人がAI破る、囲碁電王戦第1局(2016.11.20)、囲碁AI趙名誉名人破る、囲碁電王戦第2局 ハンディなしで初(2016.11.21)、囲碁電王戦 国産AIあと一歩、趙名誉名人2勝「人間の感覚と違う打ち方」(2016.11.24)

〇 北陸中日新聞: 囲碁電王戦、趙が先勝、囲碁電王戦第1局((2016.11.20)

〇 趙治勲さん「囲碁電王戦」第1局に勝利!!(棋譜)(のらくらニュース): http://norakuranews.com/deepzengo1/

〇 電王戦最終局、趙名誉名人が勝利 囲碁AI「DeepZenGo」に勝ち越し(ITmedia news) :http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1611/23/news030.html(第3局)、http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1611/20/news029.html(第2局)、http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1611/19/news029.html(第1局)

(Link)

〇 囲碁、第4回電聖戦、小林光一名誉棋聖vsコンピュータソフト(3子局)は1勝1敗、日本のZen(ゼン)は勝ち、米のdarkforest(ダークフォレスト)は敗け、とは(2016.3.26):
http://kanazawa-sakurada.cocolog-nifty.com/blog/2016/03/vs11facebookdar.html

〇 囲碁、アルファ碁(グーグルの人工知能) と 李世ドル九段(世界最強レベルの棋士)が対局、李世ドル(イセドル)九段は5番勝負の第4戦でようやく1勝、とは(2016.3.19):http://kanazawa-sakurada.cocolog-nifty.com/blog/2016/03/vs-a0a6.html
 

 

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