カテゴリー「学問・資格」の2件の記事

2017年11月24日 (金)

スパコン超える量子コンピューター、初の国産機開発に成功し公開、国産計算機「量子コンピューター」と呼ばず  内閣府「国際定義定まっていない」、とは(2017.11.24)

 国立情報学研究所や理化学研究所、東京大学、NTT物性科学基礎研究所(神奈川県厚木市)などの国のプロジェクトチームは、内閣府の研究支援制度を使い、2017年(平成29年)11月20日、スーパーコンピューターをはるかに超える高速計算ができる、国産の「量子コンピューター」を、光ファイバーとレーザーを組み合わせた独自の方法で開発し、その試作機を公開した。

 基礎研究は、1980年(昭和55年)年代に始まり、日本の業績も世界的に評価されている。が、実用化では米IBMやグーグルなどが先行。カナダのD-Waveシステムズは2011年(平成23年)に一部実用化し、米航空宇宙局(NASA)などが活用している。

国産初  量子コンピュータの開発に成功、NHKニュース(2017.11.20  3:54):https://www.youtube.com/watch?v=dGgpHDdbYlg

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公開した量子コンピューター、パネルに2000ノード(ネットワークの節点)のMAXCUT(最大カット)問題の入出力情報を示した様子。左側 問題を入力した状態、右側 計算結果。神奈川県厚木市、2017.11.20

 量子コンピューターは、光ファイバーの回路の中でレーザー光の「粒」(光子!)を多く発生させ、どのような状態で光の収まりが最も良くなるかを見ることで、答えが導かれる仕組みである。また、試作機の冷却は、大型電子レンジ程度の1キロワットで済むという。連続での作動時間も、熱が伝わりにくい箱に入れるなどして、実験段階の10分から24時間まで延ばすことに成功した。

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 従来のスパコンで使われるソフトウェアは使えず、開発に必要な専門家は不足している。このため、ケンキュウグループは、試作機の段階で企業や研究機関に量子コンピューターを使ってもらい、そこで得た技術の開発や人材育成につなげることにした。

 一般の人も使えるように、11月27日から、インターネット上でシステムを公開し、専用サイト(https://qnncloud.com/)で申請すれば利用できる。世界的な開発競争が進む中、試作段階で公開して改良につなげ、2019年(平成31年)度末までに国産での実用化を目指す。

 これには、人工知能や新薬の開発、交通渋滞の解消、無線通信など、様々なネットワークを効率化など莫大な需要が見込まれている。(朝日新聞:2017.11.20、北陸中日新聞:2017.11.21)

(Link)

 〇  数字(大数、小数)と図形(黄金比、白銀比)にまつわる歴史実話、東洋、西洋の思考、感性の違い、デジタル(二進法)とアナログ(フーリエ解析)のコンピュター(計算機)、とは(2009.9.5): http://kanazawa-sakurada.cocolog-nifty.com/blog/2009/09/200995-2f40.html

(追加説明)

〇 量子コンピューター

 国産初の「量子コンピューター」は、NHKニュースによると、全長1kmのループ状の光ファイバ-に、レーザーで量子である光の粒(光子!)を大量に入れ、超高速で回転させ、複雑な組み合わせの問題を解くのに応用した。

 従来のコンピューター(スウィッチのON・OFF、光の点滅!)は、データを「1」か「0」のビット単位で小さな半導体に記録する。

 一方、量子コンピューター(電子、光の粒(光子)の超高速回転!)は、電子や光子などの「重ね合わせ」と呼ばれる現象のおかげで、量子ビット(キュービット)が同時に2つの状態でいることができる。 これは、「1」と「0」を同時に保持するので、2つの量子ビットであれば、「00」「01」「10」「11」の4つの値を記録でき、超高速計算が可能となる。

 光ファイバーに異なる波長のレーザー光を2千回流し、光がお互いに干渉(かんしょう)しあう中で模擬的な「重ね合わせ」の状態をつくり、これを使って計算する。

 多くの選択肢の中から最もいい組み合わせは何か、という特定の問題を解く計算に強いと言われている。

〇 量子コンピューター 新方式? 日本から発表 定義めぐり議論  海外の装置商品化も  朝日新聞(デジタル): https://www.asahi.com/articles/DA3S13402896.html

 超高速計算の実現が期待される量子コンピューター。その一つとして日本の研究チームが発表した「QNN]は、これまで考えられてきた原理とは異なる方式で、研究者から異論が相次いだ。定義をめぐる議論が始まる一方、国内外で様々な方式の研究が進む。(朝日新聞、2018.3.15)

〇 国産計算機「量子コンピューター」と呼ばず  内閣府「国際定義定まっていない」  朝日新聞(デジタル): https://www.asahi.com/articles/ASL3R2S5QL3RULBJ001.html

 NTTや国立情報学研究所などが開発した計算機「量子ニューラルネットワーク(QNN)」について、内閣府は当面、「量子コンピューター」と呼ばないことを決めた。国際的な定義が定まっていないためで、今後も研究を続ける。これは、QNNには従来のコンピューターと同様の電子回路が組み込まれており、「量子コンピューターではない」という指摘が研究者から出ていた。こうした議論を受け、内閣府は専門家7人の意見をまとめた報告書を公表。また、国際学会では、量子コンピューターの定義の議論が続いている。(朝日新聞、2018.3.24) 

2017年11月14日 (火)

国宝の筆跡、平安時代の能筆家、三筆(空海・嵯峨天皇・橘逸勢)と三蹟(小野道風・藤原佐理・藤原行成)、とは(2017.11.14)

 三筆(さんぴつ)は、平安初期の代表的な3人の能筆家空海弘法太師とも)・嵯峨天皇・橘逸勢。漢詩文の盛行など唐文化の強い影響下に、唐風の書法を発展させたと言われる。が、三筆の称が使われるのは江戸時代からである。

 これにならい、寛永の三筆(本阿弥光悦・近衛信尹・松花堂昭乗)、黄檗の三筆(隠元隆琦・木庵性瑨・即非如一)、幕末の三筆(市河米庵・貫名菘翁・巻菱湖)、明治の三筆(日下部鳴鶴・中林梧悟竹・巌谷一六)などの称も生まれた。

〇 三筆

空海(くうかい、774~835、弘法大師とも)

 漢詩文・書にすぐれ、前者は「性霊集」「高野雑筆集」などに収められ、「風信帖」「灌頂歴名」などは至宝とされる。

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弘法大師筆尺牘三通、風信帖(1通目)、空海が最澄の消息に答えた書状、平安時代、810年(弘仁元年)~812年(弘仁3年)、国宝、東寺(京都)蔵。

嵯峨天皇(さがてんのう、786~842)

 詩文・書道をよくし、書では三筆の一人に数えられる。空海の書風の影響が強く、最澄の弟子光定に与えた「光定戒蝶(こうじょうかいちょう」は真筆とされる。

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嵯峨天皇宸翰、光定戒牒、嵯峨天皇が最澄の弟子光定に与えた書状、平安時代、823年(弘仁14年)、国宝、延暦寺(京都)蔵。

橘逸勢(たちばなのはやなり、?~842))

 三筆の一人で、隷書体(れいしょたい)を得意とし、書名は高いが、真跡とされるものはない。

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伊都内親王願文、伊都内親王が香灯読経料として寄進した際の願文、平安時代、833年(天長10年)、御物(ぎょぶつ、日本の皇室の私有品)。

 三蹟(さんせき、三跡とも)は、平安中期の代表的な3人の能筆家小野道風・藤原佐理(すけまさ)・藤原行成和様の書法は、道風が基礎を築き、佐理を経て、行成が完成したとされる。 この3人は平安後期から能書にあげられている。が、三蹟が使われるのは江戸時代からである。

 三蹟

小野道風(おののとうふう、みちかぜ、とも、894?~966)

 書家、醍醐・朱雀・村上の3朝に仕え、能書として重用された。その筆跡は野蹟(やせき)とよばれ、三蹟の一人に数えられる。和様書道の創始者として、日本書道史上最も重要な位置を占める。伝称筆跡が多いが、「智証太師諡号勅書」「屏風土代」「玉泉帖」などが真跡として認められている。

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円珍贈法印大和尚位並智証大師謚号勅書彩箋墨書、朝廷より円珍に智証大師の謚号が贈られた時(円珍没後36年目)に執筆、平安時代、927年(延長5年)、国宝、東京国立博物館蔵。

藤原佐理(944~998、ふじわらのすけまさ)

 三蹟の一人で、王義之や小野道風の書を基に、味わい豊かな書風を確立。その書は生前から珍重され、詩懐紙のほか「離洛帖」などの消息がある。筆跡は佐跡とよばれている。

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書状(国申文帖)  藤原佐理筆 、 伊予権守を兼ねることになった佐理が丹波守藤原為雅宛てに出した仮名書道の詫び状、平安時代、982年(天元5年)、 春敬記念書道文庫(東京)蔵。

藤原行成(ふじわらのゆきなり、こうぜい、とも、972~1027)

 学才と能書で知られ、小野道風の書を基に、明るい温雅な書風を確立させ、和様書道の大成者とされる。三蹟の一人で、「白楽天詩巻」、「白氏詩巻」などがあり、また多くの古筆の筆者に擬される。その家系は行成の建てた寺に因み世尊寺流と称され、書の主流となった。

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白氏詩巻  藤原行成筆、赤紫・薄茶などの料紙に唐の白居易の白氏文集の詩を揮毫したもの、 平安時代、1018年(寛仁2年)、国宝、 東京国立博物館蔵。

(Link)

 〇  空海(弘法大師)と書(風信帖、飛白書、雑体書)、五筆和尚、筆の誤り、筆を選ばず、とは(2009.11.13): http://kanazawa-sakurada.cocolog-nifty.com/blog/2009/11/20091113-1bba.html

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弘法大師像(談義本尊)、鎌倉時代の代表的な画像、宸筆の讃、すなわち弘法大師画像上下の余白に、後宇多法王が自筆で讃を加え、1313年(正和2年)教王護国寺西院の談義本尊として施入されたものである。 

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請来目録の筆跡対照、左より、最澄筆、空海筆(恵果阿闍梨)、次いで、最澄筆、空海筆(青龍寺和尚)

(参考文献) 秋季特別公開図録「弘法大師の書とその周辺」、1987年(昭和62年)9月30日、東寺(教王護国寺)宝物館

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