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2018年1月23日 (火)

熊谷守一、簡素な形態と明るい色彩の画風、没後40年、生きるよろこび 回顧展(東京国立近代美術館)、代表作、とは(2018.1.23)

 洋画家、熊谷守一(くまがいもりかず)、温かみのある、独自の画風は、戦後、70歳代に確立。単純化した形と明るい色彩で、猫や草花、虫、雨滴などの身近な生き物や自然を描いた。その絵は、ものを「純粋に見る」ことを突き詰めた。その回顧展が、東京国立近代美術館(東京、竹橋)、2017年12月1日(金)~2018年3月21日(水、祝)、で開かれている。

〇 猫

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 猫、1965年〈85歳) 油彩、板 愛知県美術館 木村定三コレクション

 熊谷が猫をスケッチしだしたのは1940年(60歳)代、それを油彩にし始めたのは1950年(70歳)代であった。熊谷は人に忠実な犬よりも気ままな猫を好んだ。

〇 稚魚

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         稚魚、油彩、板、1958年〈78歳) 天童市美術館

 5匹の魚がいるようにも、一匹の魚がぐるぐる泳いでいる(異時同図)ようにも見える。暗い色の一匹は水の深い所にいることを表している。青と赤という色の取り合わせにより魚がちらちら動いて見え、それが生命線を生んでいる。1932年(昭和7年)から亡くなるまで住んだ家の庭には、自分が掘った大きな池があり、水や魚に関する作品も多い。

〇 雨滴

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 雨滴、油彩、板、1961年(81歳) 愛知県美術館 木村定三コレクション

 猫についでよく知られる代表作の一つ。水たまりに落ちて跳ねる雨粒を描く。画面全体が中間色の中で、水滴だけがぱっと白く、そのため白い部分がちらちら動いて見える。

〇 ハルシア菊

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ハルシア菊、1954年〈74歳)、油彩、板 愛知県美術館 木村定三コレクション

 庭の植物と昆虫を描く。かたつむりは二重円のハルシア菊の花をまねるように体を丸めている。植物と昆虫を同じ命あるものとして見えてくる。

〇 豆と蟻

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豆と蟻、1958年(78歳)、油彩、板、個人蔵、 いのち温かく見守る!

 熊谷守一は、自宅の庭で草花やそれに群がる昆虫をつぶさに観察し、幾度もスケッチした。さまざまな鳥を飼育していたことでも知られ、小さなアリについて、「蟻は左の二番目の足から歩き出す」との言葉をのこした。この画では、触覚が極端に小さく描かれている。守一は地面に頬杖をついて蟻をよく観察したと言われている。

 ベージュの背景に双葉を伸ばそうとしている豆と、五匹の蟻を描いたもの。芽を出す豆に比べて蟻が大きく描かれている。それは、守一の”いのち”に対する温かなまなざしを感じさせ、対象に接近し、その生の営みを見つめる観察眼とが向けられているかのようである。 

〇 熊谷守一

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               熊谷守一(1880-1977)、91歳

 熊谷守一(くまがいもりかず、1880~1977)は、岐阜県生れ。東京美術学校、西洋画科撰科卒。フォーヴィスム(野獣派、原色的色彩,奔放な筆触の太い描線が特徴)を経て、簡素な形態と明るい色彩の画風となる。代表作、蠟燭(ろうそく)、陽の死んだ日、晩年は、猫、雨滴のほか、虫や花、果物などの作品。1967年(87歳)文化勲章を辞退。

〇 蝋燭

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          蠟燭(ローソク)、1909年(29歳)  岐阜県美術館

 蝋燭をもつ自画像を描く。 第3回文展に出品し褒状を受ける。

〇 陽の死んだ日

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           陽の死んだ日、1928年〈48歳) 大原美術館

 次男の陽の死顔を描く。「この子が死んで何もこの世に残すものがないと思って描いた」
という。初期二科展に出品し、注目される。

 1922年(大正11年)、大江秀子と結婚。1928年(昭和3年)に次男、 陽(よう)を、1932年(昭和7年)に三女、 茜(あかね)を、1947年(昭和22)年に長女、萬(まん)を失くすなど、戦争をはさんで次々と家族の死に見舞われる。戦後は無所属で、単純化された形と明るい色彩を特徴とする、独自の作風を築く。

(参考文献) 

 朝日新聞:首都圏トピックス、熊谷守一  シンプルへの旅路(2018.1.11)

(Link)

 〇 没後40年 熊谷守一 生きるよろこび 回顧展(東京国立近代美術館): http://kumagai2017.exhn.jp/YouTubehttps://www.youtube.com/watch?v=JbXHMEP1qus

 〇 豊島区立熊谷守一美術館: http://kumagai-morikazu.jp/

 〇 熊谷守一つけち記念館(岐阜県中津川市付知町): http://www.morikazu-museum-tsukechi.jp/

 〇 熊谷守一 絵画作品と所蔵美術館 (くまがい もりかず 1880(M13). 4. 2 - 1977(S52). 8. 1  ) :http://kininaruart.com/artist/jyouga/kumagai_morikazu.html

 〇 モリが見つめた天地、画家 熊谷榧、ききて 山 田 誠 浩(平成22年12月、3月14日に、NHK教育テレビの「こころの時代」で放映):  http://h-kishi.sakura.ne.jp/kokoro-444.htm

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