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2017年11月14日 (火)

国宝の筆跡、平安時代の能筆家、三筆(空海・嵯峨天皇・橘逸勢)と三蹟(小野道風・藤原佐理・藤原行成)、とは(2017.11.14)

 三筆(さんぴつ)は、平安初期の代表的な3人の能筆家空海弘法太師とも)・嵯峨天皇・橘逸勢。漢詩文の盛行など唐文化の強い影響下に、唐風の書法を発展させたと言われる。が、三筆の称が使われるのは江戸時代からである。

 これにならい、寛永の三筆(本阿弥光悦・近衛信尹・松花堂昭乗)、黄檗の三筆(隠元隆琦・木庵性瑨・即非如一)、幕末の三筆(市河米庵・貫名菘翁・巻菱湖)、明治の三筆(日下部鳴鶴・中林梧悟竹・巌谷一六)などの称も生まれた。

〇 三筆

空海(くうかい、774~835、弘法大師とも)

 漢詩文・書にすぐれ、前者は「性霊集」「高野雑筆集」などに収められ、「風信帖」「灌頂歴名」などは至宝とされる。

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弘法大師筆尺牘三通、風信帖(1通目)、空海が最澄の消息に答えた書状、平安時代、810年(弘仁元年)~812年(弘仁3年)、国宝、東寺(京都)蔵。

嵯峨天皇(さがてんのう、786~842)

 詩文・書道をよくし、書では三筆の一人に数えられる。空海の書風の影響が強く、最澄の弟子光定に与えた「光定戒蝶(こうじょうかいちょう」は真筆とされる。

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嵯峨天皇宸翰、光定戒牒、嵯峨天皇が最澄の弟子光定に与えた書状、平安時代、823年(弘仁14年)、国宝、延暦寺(京都)蔵。

橘逸勢(たちばなのはやなり、?~842))

 三筆の一人で、隷書体(れいしょたい)を得意とし、書名は高いが、真跡とされるものはない。

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伊都内親王願文、伊都内親王が香灯読経料として寄進した際の願文、平安時代、833年(天長10年)、御物(ぎょぶつ、日本の皇室の私有品)。

 三蹟(さんせき、三跡とも)は、平安中期の代表的な3人の能筆家小野道風・藤原佐理(すけまさ)・藤原行成和様の書法は、道風が基礎を築き、佐理を経て、行成が完成したとされる。 この3人は平安後期から能書にあげられている。が、三蹟が使われるのは江戸時代からである。

 三蹟

小野道風(おののとうふう、みちかぜ、とも、894?~966)

 書家、醍醐・朱雀・村上の3朝に仕え、能書として重用された。その筆跡は野蹟(やせき)とよばれ、三蹟の一人に数えられる。和様書道の創始者として、日本書道史上最も重要な位置を占める。伝称筆跡が多いが、「智証太師諡号勅書」「屏風土代」「玉泉帖」などが真跡として認められている。

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円珍贈法印大和尚位並智証大師謚号勅書彩箋墨書、朝廷より円珍に智証大師の謚号が贈られた時(円珍没後36年目)に執筆、平安時代、927年(延長5年)、国宝、東京国立博物館蔵。

藤原佐理(944~998、ふじわらのすけまさ)

 三蹟の一人で、王義之や小野道風の書を基に、味わい豊かな書風を確立。その書は生前から珍重され、詩懐紙のほか「離洛帖」などの消息がある。筆跡は佐跡とよばれている。

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書状(国申文帖)  藤原佐理筆 、 伊予権守を兼ねることになった佐理が丹波守藤原為雅宛てに出した仮名書道の詫び状、平安時代、982年(天元5年)、 春敬記念書道文庫(東京)蔵。

藤原行成(ふじわらのゆきなり、こうぜい、とも、972~1027)

 学才と能書で知られ、小野道風の書を基に、明るい温雅な書風を確立させ、和様書道の大成者とされる。三蹟の一人で、「白楽天詩巻」、「白氏詩巻」などがあり、また多くの古筆の筆者に擬される。その家系は行成の建てた寺に因み世尊寺流と称され、書の主流となった。

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白氏詩巻  藤原行成筆、赤紫・薄茶などの料紙に唐の白居易の白氏文集の詩を揮毫したもの、 平安時代、1018年(寛仁2年)、国宝、 東京国立博物館蔵。

(Link)

 〇  空海(弘法大師)と書(風信帖、飛白書、雑体書)、五筆和尚、筆の誤り、筆を選ばず、とは(2009.11.13): http://kanazawa-sakurada.cocolog-nifty.com/blog/2009/11/20091113-1bba.html

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弘法大師像(談義本尊)、鎌倉時代の代表的な画像、宸筆の讃、すなわち弘法大師画像上下の余白に、後宇多法王が自筆で讃を加え、1313年(正和2年)教王護国寺西院の談義本尊として施入されたものである。 

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請来目録の筆跡対照、左より、最澄筆、空海筆(恵果阿闍梨)、次いで、最澄筆、空海筆(青龍寺和尚)

(参考文献) 秋季特別公開図録「弘法大師の書とその周辺」、1987年(昭和62年)9月30日、東寺(教王護国寺)宝物館

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